2009-02-13

ボディ・アンド・ソウル / 古川日出男

ボディ・アンド・ソウル「失われたのはどちらなのか?
 こちら側か?
 あちら側か?
 いま、僕には肉体があり、僕は語るべきことを語る。キーボードを叩いて、打ちだすべき物語を打ちだす。そんなふうに何時間もがすぎる。何日もがすぎる。それから、何ヶ月も。いつしか、僕は、チエの不在をチエを創造することによって埋めることすらイメージしている。」

現実をさまよう作家フルカワヒデオを物語る混沌の言葉たち。

「ボディがいままでとは異なるソウルを宿すとき、ボディには意識が芽生える。」

物語らなければ伝わらない。伝わらなければ存在しないと同じ。

2009-02-10

風が吹いたら桶屋がもうかる / 井上夢人

風が吹いたら桶屋がもうかる「まるっきり前作の焼き直しじゃないか。シチュエーションが似ていて、解決まで同工異曲とは、どういう神経をしているんだこの作家は。それでもプロか!」

そんな作品がこの本です。(笑)
それでもいいのだ、と暗に言っているんですかね。

趣味でやってる低能力な超能力者、論理に破綻がなければ合ってても間違っててもお構いなしなアンパン男、なぜか美女に相談を持ちかけられる牛丼屋店員、そして超能力を頼って相談に来る美女。
この4人が繰り広げるやり取りが毎回お決まりのパターンなのだが、読んでいて面白くて心地いい。

あと、短編のタイトルが内容とまったく関係ないのも面白い。(もちろん本のタイトルも)

「哀れな猫の大量虐殺」がなかなかいい出来だった。

2009-02-09

倉橋由美子の怪奇掌篇 / 倉橋由美子

倉橋由美子の怪奇掌篇怖いものからコミカルなものまで、怪奇です。
長風呂で身体が溶けちゃって骸骨になる「事故」は発想が突飛なのに淡々とした文体で好きです。

「しようがない子ね。骸骨になるまで長湯をする人がありますか。」

2009-01-25

泣かない女はいない / 長嶋有

泣かない女はいない「この気持ちは誰ともわかちあえない。(・・・)我々は連帯しながら断絶している。睦美はそう思った。」

短編2編の小説集。
両方にキン肉マンが出てきた。

「「慰謝料なんかじゃ、慰謝されないから」
 「じゃあ、どうすればいいの」 いい?いいって?いい選択などあるはずがない。どのカードも切りたくない。
 「額に入れ墨彫って。『肉』って入れ墨」 そうすれば慰謝されるから。思いつきをいってみたが、とても「いい」考えに思える。」

2009-01-14

あやめ 鰈 ひかがみ / 松浦寿輝

あやめ 鰈 ひかがみ連作短編集。
三人の男が現実とも非現実ともつかない静かで暗い世界に生きている。
それぞれ、何人かの他人と接点がありつつも情景がきれぎれに交錯しており、最終的に孤独感が漂うもののそのなかで見つかったような気がする幸福感。

主人公が死んだところから始まり、可哀相という言葉から次第に悟りの境地に達する「あやめ」が好きだなぁ。

「化け物に取り憑かれ、自分は生きているとか、まだ辛うじて生きているとか、どうやらもう生きてはいないようだとか、しょうもないことの数々を言葉にならない言葉で自分に言い聞かせはじめたときから逃れがたく抱えこんでしまった、人類という種に固有のこの妙ちきりんで滑稽な悲傷。」

「どれだろうとそれがそうだと思ったときそれは木原にとって紛れもない現実となるのであり、もし複数の様々なことをそれらはみなそうだと同時に思うのならその思った数だけの紛れもない複数の現実があるわけだった。」

2009-01-13

ひまわりっ (9) / 東村アキコ

ひまわりっ (9)スイートポテって何?(パキョ)
ウィング関って誰・・・

「早くっ 早くベホイミをかけて下され~~!!」
かけたことねぇよ

2009-01-04

冷食捜査官 1 / とり・みき

冷食捜査官 1食料統制が行われ合成食料を食べる未来世界の人々。
そんななか、大量の冷凍食品が闇で売買されている。

うまい設定だなぁ。
細かい笑いネタもいいですね。

2008-12-21

同姓同名小説 / 松尾スズキ

同姓同名小説
小説でこれだけ笑えるのはめずらしい。

2008-12-16

ロボ道楽の逆襲 / とり・みき

ロボ道楽の逆襲
むかしの「ポリタン」に似てて好きだなぁ。

2008-12-14

ニート / 絲山秋子

ニートなんか物静かな短編が続くなぁ~と思っていたら、最後の「愛なんかいらねー」でいきなり屈折してました。う~ん臭うな・・・
全体的に物悲しくてしょうがない感じが漂ってますね。