音楽活動ではすでにベスト盤も出している兄弟ユニット「キリンジ」の単行本。日々の出来事を淡々と書いてるように見えて独自の視点やユーモアがあふれていて面白い。
ウィルスと人工生命をからめて生命(?)の進化について物語は進みます。なにぶん10年前の小説なので、パソコンに関する記述はかなり古臭く感じますが、話が進むにつれてだんだん気にならなくなるのは小説が進化しているから?それとも暴走しているから?
声に翻弄されるおねいさん。言葉がこわれるところを見ていたおねいさんに湧き出る言葉がなんだか自然な感じです。
情景と主人公の思考が絡まりあいつつ話は進む。ちょっと保坂和志と似ているかな。「ながくつきあっている連中と共有しているのは、社会的な地位や利害関係とは縁のない、ちょうど宮沢賢治のホモイが取り逃がした貝の火みたいな、それじたい触れることのできない距離を要請するかすかな炎みたいなもので、国籍や年齢や性別には収まらないそうした理解の火はふいに現われ、持続するときは持続し、消えるときは消える。不幸にして消えたあとも、しばらくはそのぬくもりが残る。」「熊の敷石」もいいが併録の「砂売りが通る」も良い。
恐怖短編小説集。一番の恐怖は、自分自身が信じられなくなるというその状況なのかも。恐怖に押し潰されて呻き声すら出ないような現実が主人公を締め付ける「ブラックライト」、体中にムズムズと悪寒が走る「ゴールデンケージ」が凄い。
ほのぼの系の短編マンガ集。個人的には笑いのある「やまもとくんとまぶだち」が良かった。
連作幻想短編集。バーテンダー九鬼さんの作るカクテルを飲むと不思議な世界へ迷い込み妖しい美女たちと出逢う。起こる出来事はかなり奇想天外、支離滅裂であるが、それぞれのイメージが鮮烈でそれこそ異次元へ連れて行かれる感覚がある。これを読んだあと寝ると、不思議と濃い夢を見るような気がする。
だんだん面白くなってきた。迷走する探偵と、迷わない探偵の迷わないが故の悲劇。「本当は君自身うすうす気付いてはいたんだろう? 自分の記憶の不確かさに」
SF系作品集。表題作は人面牛身の件(くだん)についての話。面白いがもうちょっとページ数があったほうが良かった。 「金玉人間第1号」はバカバカしくて好きだ。そういえば昔のマンガで金玉を引きずって歩く西郷さんがいたなぁ。
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